ステッカー・シール・ラベルの違い
ステッカーやシール、ラベルについて、それぞれの特徴や長所、短所などを紹介しています。また、シールへの主な印刷方法と印刷用紙についても解説しています。ステッカーをオーダーする際は、ぜひ参考にしてください。
ステッカーの特徴
ステッカーは、一般的には宣伝やデコレーションを目的として使用されるシールのことです。その目的からもわかるとおり、あまり屋内では使われず、ほとんどの場合は屋外で使用されます。ただ、これはビジネスを目的とした場合であり、個人でステッカーを使用する場合、その限りではありません。
宣伝目的で使用する場合は、耐久性について考慮して用紙、インク、印刷方法を選ばなければなりません。屋外で長い期間使うことになるステッカーは、紫外線や天候の影響を受けて劣化していきます。ステッカーを製造している業者により、耐用年数を表記している場合もありますが、実際の使用においては、ステッカーがそのとおりの耐久力を持っているとは限りません。通常3~5年は屋外で使用可能ですが、1年で使えなくなってしまうことも、5年以上使えることも十分にありえます。長期的な使用を考える場合は、用紙やインク、印刷方法を業者と相談して決めるとともに、メンテナンスもしっかり行いましょう。
ステッカーは、貼るとなかなかはがれないので、車やオートバイなど、傷や汚れをつけたくない場合は、なるべくはがしやすいステッカーを選びましょう。このように、状況に応じて素材を選択することが重要です。
ラベルの特徴
ラベルは、ステッカーとは違い、屋内で使用されます。商品や物がどこにあるかわかるように、引き出しや棚、箱などに貼られるケースが多いようです。ラベルにはたくさんの種類があり、特に商品に付けられるラベルは「名札」、パックなどの包装に付けられるラベルは「貼り札」などと呼ばれる場合があります。
ラベルはステッカーのように宣伝目的で使うことはありません。「中身」について明示したり、「どんなもの」かを表したりする場合によく使用されます。たとえば、商品の値段やディスカウント表示、注意喚起、食品の成分表示、郵便や宅配便に貼る宛先などがラベルに当たります。ラベルにはステッカーのようにかんたんに貼れるものもありますが、糊を使って貼り付けるタイプもあります。屋外で使う標識板や案内板のことをラベルと呼ぶ場合もあるようですが、これらは「サイン」と考えたほうがよいでしょう。
ラベルはステッカーのように屋外で使うことはほぼないので、耐久性についてはあまり考えなくてもかまいません。ただ、表示としての目的があるため、「はっきり視認できるか」「わかりやすい言葉になっているか」「はがれないか」という点に関しては気をつけましょう。特に倉庫などで使用する場合、ラベルに問題があるとクレームや返品などにつながる可能性が高まるので、細心の注意を払ってラベルを作りましょう。
ラベルに適した用紙
ラベルの用紙にはツヤありとツヤなしのものがありますが、この選択も重要です。手に取って見ることのできるラベルならどちらでも問題ありませんが、たとえば少し離れた位置からでも視認できるようにぶら下げられているラベルや掲示されているラベルは、ゆらゆらと動いてしまう場合があるので、ツヤありだと光を反射して見にくくなる場合があります。このような用途でラベルを使用する場合は、大きく、ツヤのない紙を選ぶとよいでしょう。
また、耐水や耐熱・冷凍に向くなどの「機能」や粘着力の強弱、跡が残らず剥がせる再剥離糊など、「糊」の種類もあり価格も違いますので、用途に合わせて選ぶ必要があります。
ラベルに適したフォントとカラー
書かれている情報が見にくかったり、理解できなかったりするようでは、ラベルは本来の役割を果たしていないことになります。正確な情報が伝わるように、太く、しっかりしたフォントを使い、反射の少ないカラーを選択しましょう。黄色や水色などは反射が多いため避けたほうが無難です。ブラックやブルー、レッドなどが読みやすいカラーです。
もちろん、表記もはっきりわかるよう、しっかり考える必要があります。誤解がおきないよう、あいまいな表現は避けましょう。
シールはステッカー、ラベルの総称
私たちはシールという言葉を子供の頃から使っています。ただ、ステッカーやラベルとの違いを説明できる人は少ないのではないでしょうか。ステッカーとラベルには明確な違いがありますが、シールはあくまで糊が裏側に施された紙のことであり、ステッカーもラベルもシールに含まれます。おもちゃの部類に入る「シール」と、趣味として個人で使用する「ステッカー」のように分ける場合もありますが、基本的にはステッカーやラベルを含めた糊付きの紙のことをシールと呼ぶと考えればよいでしょう。
印刷の方法
ここからは、ステッカーやラベルの主な印刷方法についてご紹介します。
オフセット印刷
オフセット印刷は、印刷用紙と版が直接触れず、転写体をはさんで印刷する印刷方法です。
オフセット印刷では通常、版の撥水性を利用して印刷する平版が用いられます。オリジナルの平版には石が使われていましたが、現在、主に使われているのはPS版と呼ばれるアルミ製のものです。
PS版は、親水性の支持体を、撥水性を持つ感光剤でカバーしたものです。ここに版下から作ったフィルムをセットし、フォトリソグラフィと呼ばれる技術により撥水性を持つ部分を除去したものがオフセット印刷の原版になります。これを版胴にセットし、水ローラーにより湿し水を付着させると、撥水層の取り除かれた部分にだけ水がのります。この部分にはインクがのらず、ほかの画線部にだけインクがのるので、印刷できるというわけです。印刷の際は、原版からブランケットと呼ばれる転写体をはさみ、その後、紙に転写します。
オフセット印刷は、版が紙に直接触れることがないため、胴があまり摩耗しません。大量に、そして鮮やかに印刷することが可能です。ただ、短所もあり、その代表的なものが「高額な設備投資」と「立体感のなさ」です。また、湿し水には環境に影響を与える可能性がある化合物が使われている場合があり、それを危惧する声があることも確かではあります。近年、水を使わない印刷方法も登場してきており、そのシェアもだんだんと拡大してきています。シール本舗のオフセット印刷機は、6カラーでの印刷が可能です。
凸輪印刷
凸輪印刷は、凸版印刷により印刷を行う方法ですが、版に対し平行に圧力を加えるのではなく、インクローラーと版の両方を輪転させることで印刷を行います。凸版印刷は、古くから使用されているシンプルな印刷方法ですが、輪郭がはっきりと表現しやすいため、ステッカーやラベルの印刷に最適です。ただ、紙に対し、ダイレクトに圧力が加わってしまうため、印刷面がへこんでしまったり、シワになったりする場合があります。また、凸輪印刷は版面が同じ高さになるため、文字の印刷には向きますが、細かなカラー表現が求められるイメージの印刷には向いていません。野外で使用するステッカーや特色印刷に使われることが多いようです。シール本舗の凸輪印刷機は、4色での印刷に対応しています。
デジタル印刷
デジタル印刷は「版」を使わず、オフィスのコピー機やプリンターのようにインクジェットやトナーによって、デジタルデータを直接印刷する事が出来ます。
インクジェットやトナーと言っても、実際には専用の液体トナーなどを使用したり、輪転機のように一度ローラーに吹き付けて半乾燥させた樹脂膜を転写するなど、印刷の品位や耐久性などが追及されています。
留意すべき点として、アナログの印刷機と若干色味が違ったり、印刷部分の性質上、目の粗い素材・用紙には不向きな場合がありますが、大きな メリットがあります。
何といっても、デジタルデータを直接印刷できるため、「版」を作ったりインク調合や調整などの準備時間が大幅に短縮され、「版」の作成費用も掛かりません。「版」は色の数の分必要なので、色数が増えるほど有利です。
また、ラベルデザインを少しずつ変えたものを一度に印刷する「多品種小ロット印刷」や「可変印刷」などデジタル機能を活かすことで、より販路やユーザーに合わせたラベルシールを製造することが可能です。これからの時代で求められる「変化への柔軟な対応」を実現します。
印刷に使われる紙
ステッカーやラベルは、用途に合わせて適切な印刷用紙を選ぶ必要があります。ここからは、ステッカーやラベルの印刷によく使われる用紙について解説していきます。
上質紙
上質紙は、印刷に使われる化学パルプでできた洋紙のことです。ウッドフリーペーパーと呼ばれることもあります。上質紙は、日本の大手製紙メーカーのすべてが製造している上級印刷紙です。
上質紙は、裏も表もコーティングされていませんが、基本的にはコート紙と作り方は同じです。紙の表面がパルプだとにじみが発生しやすいため、多くの製品には、インクを吸収しやすいように添加剤が配合されています。コーティングされていないため、コート紙と比較するとややざらつき気味ですが、紙自体に強度があり、紙のハリやコシ、不透明度などの点でとても優れていることが特徴です。
上質紙は主に印刷に用いられます。オフィスで使用される伝票やメモ帳、コピー用紙の多くが上質紙です。コピー機やインクジェットプリンターなどで使われる上質紙には、トラブルを防ぐ目的や、印刷適性を追加する目的で加工が施されています。
一般的な製品は木材パルプを原料としていますが、古紙パルプや、藁や葦などを原料とする木材フリーの原料で作られるパルプを使った製品も販売されています。
アート紙
アート紙は、上質紙とは異なり、紙面がコーティングされているためざらつきがなく、美しい仕上げが可能な印刷用紙です。オフセット印刷に最適な紙だといえます。
アート紙はコーティングされていますが、コート紙を上回るほどツヤが出るため、写真をプリントする際によく用いられます。エレガントな雰囲気を持たせたい印刷物に使うとよいでしょう。
ミラーコート紙
ミラーコート紙は、光沢が強い印刷用紙で、一般的なコート紙と比較すると、その差は歴然としています。インクがよくのるため、画像をプリントアウトすると、鏡面のように美しく光り輝く仕上がりになるのでおすすめです。ミラーコート紙もアート紙同様、画像を多く使い、高級感を演出したい印刷物に使うとよいでしょう。
和紙
日本で古くから使われている和紙は、繊維が長く、独特な肌触りと耐久性を持ちます。輪の雰囲気を出すには最適な用紙です。
クラフト
クラフト紙は、パルプ原料で作られた洋紙で、強度を出すために漂白されていない紙です。ダンボールや梱包材は、このクラフト紙に含まれます。非常に丈夫なので、印刷物にもよく使用されています。
マットコート
マットコートは、光沢のない印刷用紙で、ラベルやバーコード、品質表示などによく使用されています。
まとめ
ステッカーやラベル、シールの違いや定義についてご紹介しました。ステッカーやラベルを印刷する際は、用途に合った紙を選択することが重要です。